( ´ー`)つ 商標「竹島物語」の話
巷では、拒絶されたものの翻って登録査定になったとの噂が流れておりますね。
今回はコイツをお題にしてみます。
さて、まずは、対象を特定せにゃ始まりませんので、特許庁(正確には、独立行政法人 工業所有権情報・研修館)のIPDLなんぞを利用して、商標出願を探してみます。
商標「竹島物語」、区分・指定商品「第30類 菓子及びパン」(商願2006-044381号)
どうやらこいつのようですな。
次に、IPDLの経過情報検索でこいつの審査経過を調べてみます。
審査記録(pdf化したのを置いておきますね)のところに、平成18年12月22日付で拒絶理由通知書を発送したことが記載されていますね(ちなみに、本日時点では、意見書の提出があったのか、その後登録査定となったのかは、IPDLではまだ分かりません)。
もうちょっと突っ込むと、拒絶理由の適用条文が、「第4条第1項各号(11~13号除く)」と書いてあります。
ん、第4条第1項各号って何だ?って。
これは、いわゆる商標の不登録事由を列挙した条文で、この条に規定されたどれかの条件にマッチすると商標登録が受けられないつーものです。まー長い条文なんですが、こちらに抜粋を用意しましたので、見たい方はどぞ。
話戻して、では、実際の拒絶理由は何だったんだろうかといえば、おそらく(というか十中八九)、第7号に該当すると判断されたんでしょうね。
第7号は、いわゆる公序良俗違反になります。
おいおい、「竹島物語」が何で公序良俗違反なんだよ!(#゚Д゚) とお怒りの方々も多いかと思われます。
しかしながら、この適用自体はそんなに間違ってもいないのです。そのカギは、商標審査基準にあります。
1.「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものとする。
なお、「差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形」に該当するか否かは、特にその文字又は図形に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的な視野から判断するものとする。
2.他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標は、本号の規定に該当するものとする。
よーするに、特許庁は審査基準に則って、「竹島」に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的な視野から「安全サイド」で判断してるというわけです。
もちろん、だからといって特許庁が絶対的に正しいわけでもなく、これに対しては公序良俗違反がないことを意見書を提出して主張することができます。主張内容が妥当であれば拒絶理由は解消し、他の要件を満たす限りは登録査定オメデトウ!となるわけです。
とはいっても、この第7号違反は特許庁の最後の砦でもありますので、割とハードルは高い方ではないかと思われます。揉めて審決取消訴訟まで行くパターンもある位ですから。
有名なところでは、「征露丸」ですかね。日露戦争当時は、まあ交戦中ですから問題なかったとしても、現在は交戦状態でもなけりゃ国交断絶状態でもないわけで、当時とは事情が異なります。当然、こんな名称はロシアに対して失礼ですから認められません。だから、今時は「正露丸」なわけですよ・・・。
一方で、
(a)「マリヤ」「MARIA」の文字を要部とする商標(旧45類鳥獣肉魚介類等)について,敬虔なるキリスト教信者の一部にはこのようなものを食品の商標として使用することに対し不快の感を懐く者があるかもしれないが,キリスト教はわが国における宗教の一部であって,その信仰心ないしは教義が一般国民の道徳観を構成しているものとは認め難いから,これを食品の類に使用するも,国民一般の道徳観ないしは社会的良心を害うおそれがあるとは認められないし,わが国はキリスト教を国教とするものではないから,公の秩序に反することとなるおそれも認められないとしたもの(審決昭34.2.6・昭32抗806・公191-101)。
網野 誠「商標[第6版]」(330~331頁,2002/06/30,有斐閣)
といった事例もあり、簡単に白黒つけられるようなものでもないということですな。
まー、「竹島」があの竹島であることは暗黙の了解なのでしょうけど、日本にはたくさんの「竹島」という地名があるわけで、それと「物語」の組み合わせとから万人が島根県の「竹島」を観念するのか?といったら疑問がありますよね。
そういった感じで、反論の余地はあるわけで。
特許庁としても、一応「仕事をしました」っていうところを確保できてれば問題無しというところでしょうか。
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